渡辺研究室には研究室マニュアルがあります。
研究室に配属されると全員に配布します。

ここでは、その内容を一部抜粋して掲載します。

◎「研究」と「実験」と「作業」の違い
3年生から4年生に進級すると、大学での勉強内容が全く変わります。
4年生からは卒論研究をすることになります。
これまでは、学生実験を経験して実験のやり方を学習したり、技能を習得するのが中心でしたが、4年生の卒論研究は答えのない問いに対して挑戦することになります。
研究とは世界中の誰もわからない答えを自分で一生懸命探し出す営みなので、その答えは誰にもわかりません。
答えのあることに向かって、決められたことを行うのは、「作業」です。
また答えがあり、いろんな方法を模索しながら実践していくのが「実験」です。
この実験を繰り返し、繰り返し行うことで未知の答えを明らかにしていくことが「研究」なのです。
研究を始めるとおそらく自分の無知に気づき、途方にくれることがよくあります。
そんな自分を救ってくれるのは、自分の努力によって得た知識、親や友達の手助け、頑張った事実や体験などによって形作られた「信念」だと思います。
そして、この信念がやがて「自信」へと変わっていきます。

◎「努力」の必要性
卒業研究は"努力の賜物"とよく言われます。
誰もがまだ見つけていないことを皆さんが見つけるなんて、そう簡単にできることではありません。
成果も思うようにでないと思います。
しかし、たとえ成果がでなくても努力することは誰でもできます。
努力すればそれが必ず良い成果に結びつくとは言えませんが、努力することで少しずつでも前進することができれば、きっとその努力は「楽しみ」に変わると思います。
努力してがんばる、そしてその中から大事なものを得る、そのような訓練をするところが渡辺研究室です。

◎「時間」を大事にする
一日は24時間ですが、この24時間を大切に使っていますか?
最近、月日が経つのが早いと感じていませんか?
やりたいことはいっぱいあるけれど、時間はいつもありません。
学生時代にこれだけは頑張ったというものを何か一つでもあるとその後の人生、何があっても乗り越えていけるでしょう。
頑張ることは何でも構いません。
4年生の時に「自分は国家試験の勉強を死ぬほど頑張った」「自分は卒論研究だけは誰にも負けないくらい頑張った」と人に言えたら、それは素晴らしく格好良いし、素敵です。
それは長い人生を振り返った時にきっと良い思い出になっていることでしょう。

アルバイトもやって良いと思います。
いろんな社会の仕組みや人との上下関係、つきあい方を学ぶには良い経験ができます。
ただし、その時間分のお金はもらえるでしょうが、自分が使える有効な時間を切り売りしているという事実は認識してください。
後で後悔だけはしないよう、アルバイトは考えておこない、時間を大事にしましょう。

◎「単位」をしっかりとる
単位はしっかり取りましょう。
安易に考えてはいけません。
しっかり勉強して卒業単位、管理栄養士受験資格単位、教職単位などギリギリではなく余裕をもって取りましょう。

◎「コミュニケーション」の大切さ
コミュニケーションはとても大切です。
相手が何を考えているのか、自分の考えが相手に間違いなく伝わっているのか、それを確かめるにはやはり会話をすることが一番良い方法です。
学生にとって先生はひとりですが、先生にとって学生は複数です。
先生はその複数の学生を分け隔てなく平等に扱います。
しかし、場合によっては学生間で対応に差が生まれることがあるかもしれません。
些細なことで誤解や衝突が起こることもありえます。
その場合、やはり顔と顔をつきあわせて話をすることが大切です。
早い段階で話をしていれば、その分、問題が大きくなることはありません。
皆さんが研究室で仲良くすることが、何をするにも一番大事なことです。
本学の卒論研究は、11月に終了します。
それまでは、実験や研究、論文の執筆や試験勉強など、頻繁に研究室に集まり、会話すると思いますが、卒論発表が終わり、卒論を提出したとたん、研究室に姿を見せなくなることがよくあります。
卒論が終わると次は国家試験の勉強に取り組まなくてはなりませんが、どうか皆さん研究室に足を運んでください。
勉強に疲れたとき、国家試験に対する悩みや日々の出来事など、研究室で先生や友達とコミュニケーションをとりましょう。
きっと楽になるし、先生も学生の思いが伝わって、すべてが良い形で進んでいくと思います。

◎「卒論研究」の意義
卒論研究の意義は大きく2つあります。
学生である皆さんにとっては、卒業するため、つまり自分自身のためです。
もし卒論研究をしないなどの行為、あるいは卒論を書かず提出できなかった場合は単位を出しませんので卒業できません。
もうひとつは、世の中のため。
皆さんが行う研究によって、世の中全体がほんの少し賢くなります。
「私の研究なんて・・・」と思わないでください。
皆さんが研究をすることは、それだけで世の中に大きな価値をもたらします。
渡辺研究室でおこなう研究テーマは、すべて世の中の役に立つための研究を実践してゆきます。
しかし、そのためにはそれを卒業論文として公表しなければだめです。
そして、できれば皆さんの卒論研究の成果を学会で発表したり、論文として出版することこそが研究の社会的な目的であり、渡辺研究室が目指す理想の形としています。
責任をもって自分の研究テーマに取り組んでください。

最後に、学費を払ってくださっているご両親に感謝してください。
頑張って世の中の役に立つ研究を渡辺研究室で実現しましょう!